私たちの身の回りには、廃棄されるはずだった素材を活用して生まれた製品がたくさんあります。これらの製品は、環境への負荷を減らし、持続可能な社会づくりに貢献しています。今回は、リサイクル素材を活用した製品の開発事例を、いくつかのカテゴリーに分けてご紹介します。
食品廃棄物から生まれた製品
コーヒー豆かすを活用したカトラリー
コーヒーを淹れた後に残る豆かすは、通常廃棄されてしまいますが、これを再利用した製品が登場。やなぎプロダクツ株式会社では、コーヒー豆かすを特殊技術でプラスチックと合成し、フォークやスプーンなどのカトラリーを製造しています。廃棄物の削減と資源が有効活用されています。
お米由来のバイオマスプラスチック製品
食用に適さない古米や破砕米など、廃棄されるお米を原料としたバイオマスプラスチック「ライスレジン」が開発されています。この素材を使用したカトラリーは、石油系プラスチックの使用量を削減し、CO2排出量の低減にも寄与しています。さらに、原料の生産と製造がすべて国内で行われており、安定した供給が可能です。
卵の殻を利用した食器
年間25万トンもの卵の殻が廃棄されていますが、これを再利用した「シェルミン」というバイオマス食器が開発されました。主成分の半分以上が卵の殻であるため、プラスチックには該当せず、一般廃棄物として処理できます。陶器のような質感で耐久性にも優れ、軽量で扱いやすいのが特徴です。
農業廃棄物から生まれた製品
サトウキビの搾りかすを使った食品容器
サトウキビから砂糖を製造する際に生じる搾りかす「バガス」を活用した食品容器が注目されています。バガスを原料とした容器は、自然な風合いがあり、電子レンジでの使用も可能です。
また、耐油・耐水性に優れており、さまざまな料理に適しています。
茶殻を配合した紙製品
お茶を製造する過程で生じる茶殻は、抗菌・消臭効果が期待できる素材として注目されています。この茶殻を紙の原料に混ぜ込んだ「スマートパピエ」は、環境に配慮したエコロジーペーパーとして、パッケージ素材などに活用されています。
その他の廃棄物から生まれた製品
パームヤシの繊維を使った紙製品
パーム油を搾った後に残るヤシの繊維は、通常廃棄されてしまいますが、これを紙の原料として再利用した製品があります。「パームヤシックス」と名付けられたこの紙素材は、独特の風合いがあり、環境負荷の低減に貢献しています。
カカオ豆の皮を活用した紙素材
チョコレート製造時に出るカカオ豆の皮(カカオハスク)を再利用した紙素材「カカオミックス」は、廃棄物の削減と資源の有効活用を実現しています。この紙は、パッケージや文具などに使用され、環境に配慮した製品づくりに役立っています。
これらの事例からわかるように、廃棄されるはずだった素材を活用することで、環境負荷を減らし、持続可能な社会の実現に近づくことができます。私たちも、日常生活の中でリサイクル素材を使用した製品を選ぶことで、地球環境の保護に貢献していきましょう。